アルゴスの戦士【レビュー】「地味」を最後まで貫いた良作アクションゲーム

おもゲー

「面白いゲーム」&「思い出のゲーム」をご紹介していく【おもゲー】のコーナーです。レトロゲームが好きな私が毎回ゲームを絞ってご紹介しています。

第5回目は「アルゴスの戦士」です。
レトロゲーセンでは大魔界村と両雄を成すほどの人気のこのゲーム。長く愛され続ける面白さの秘訣は何でしょう。
いつもの【おもゲー】視点でご紹介します!

ゲーム情報
ゲーム名:アルゴスの戦士
メーカー:テクモ
稼働開始:1986年(昭和61年)
ゲームジャンル:アクションゲーム
その他:テクモの大看板ゲーム

このゲームが末永く愛される理由とは

とにかく操作が快適

アクションゲームにおいて、自機の操作性が重要なのは言うまでもないですよね。
スーパーマリオブラザーズ」を初めてやったとき、マリオを操作して走ったり、ジャンプしたり、敵を踏みつけたり。マリオを操作しているだけで楽しくなかったですか?

そんな移動やジャンプ、攻撃という一連の動作がストレスなく実行できることは、アクションゲームの基本と思われながら、この頃のゲームでそれがちゃんと出来てるゲーム思いの他少なかった気がします。

そんな中で、この「アルゴスの戦士」は抜群の操作性を誇るゲームなのです。

横移動→ちょうどいい速度。思い通りにスイスイ動く。
ジャンプ→ちょうどいい高さ。ジャンプ中の操作もしやすく、着地後もすぐ移動可能。
攻撃→攻撃はでかいヨーヨーを使用。打っては素早く戻るヨーヨーが気持ちいい。気分はまるでスケバン刑事。(レトロゲームだけに)

メイン武器はヨーヨー。スコスコ打てて気持ちいい

このゲームはザコ敵がバンバン出現して襲いかかってきますが、こちらもバンバン倒せるので気持ちが良いです。

アルゴスの戦士をプレーするたびに、自機の操作性が良いということの重要性を改めて感じるんですよねー。

レバーを上に入れて攻撃ボタンを押すと、体の周りをグルっとヨーヨーが周り上部の敵も倒せますジャンプ中も使えるのが素晴らしい。

心地よいゲームテンポの良さ

自機のアクションが快適なことに加えて、1面1面の長さもちょうど良く緊張と緩和の組み合わせが上手くいっています。

ステージクリア時の表示時間も短すぎず長すぎずで、小休憩を挟んで「ハイ次の面!」という気力が湧いてきます。

ステージクリア時の画面。真ん中のオブジェクトが面により変わるのもちょっとした楽しみ。

全27面と地味に長いですが、洞窟内をロープで登ったり、やや大きめのサイや、中くらいのボス風の敵が出てきたりと、長丁場を飽きさせない工夫がされています。

洞窟ではロープに登る場面も。上にいる大コウモリが虫を落としてくるので左右によけます。

まぁ、とはいえ、やっぱり27面って長いんですけどね…。

雰囲気がバッチリの効果音と音楽

名作ゲームに名曲あり。
これは私の勝手な持論ですが、アルゴスの戦士はこれを早々に覆してくれたゲームでもあります。(おい)

いや、メインBGMは雰囲気もバッチリだと思います。まさに、アルゴスの戦士の世界を壊さない、これぞという音楽です。
でも、地味過ぎて、これを単体で聴きたくなったことは一度もありません。

あくまでゲームの引き立て役、まさに黒子に徹した音楽という表現にふさわしいのが、このアルゴスの戦士の音楽なのです。(なんか適当にカッコイイことを言ってる気がする)

メインBGMは曲というよりリズムという感じ。もう少しパターンが欲しかったですね。

「程よい」パワーアップ

このゲームにはパワーアップアイテムが、5種類存在します。
自機の攻撃範囲が広くなったり、相手を踏みつけるだけでダメージを与えられるようになったり。
書いていてもやっぱり地味です。

当然、これらを取ることでゲームを有利に進められるようになります。
ただ、大切なのは「それらを取らないノーマルの状態でも、普通に十分戦える」ということ。

もし、パワーアップ後にやられたとしてノーマル状態に戻ったとしても、やる気の減少が少ないということなんです。

アイテム出現!やっぱりアイテムはいつだって嬉しい

ジャンルは違いますが、「グラディウス」というシューティングゲームを例にすると、バリバリにパワーアップした自機がやられて、全ての装備を失った状態でゲームが再開した時、一気にやる気がなくなりませんでしたか?

アルゴスの戦士では、そういう状態になりにくいんですね。(当然がっかりはしますけど)

パワーアップもゲームには大切な要素ですが、自分がやられて再スタートになっても楽しめる、という部分も大切だと思うのです。

これも地味ですが、やっぱり大切なことですよね。

1発アウトなのに、むしろ緊張感が増す珍しいゲーム。

アクションゲームは基本的に1発のダメージで1機を失わない方が、ゲームとしては面白くなりやすいのかなと私は考えています。

例えば「大魔界村」は、スタート時に鎧を着ていて、1回目の被弾で鎧が剥がれ、その後の被弾で1機を失います。
また、別のゲームでは自機に体力ゲージがあって、それが被弾で減っていったり。それも1発で即◯しないタイプのゲームですよね。

大魔界村。このゲームが1発アウトのルールだったら、こんな名作には絶対ならなかったはず。

しかしこの「アルゴスの戦士」は1発アウトです。
アイテムの中に「一定時間無敵アイテム」は存在するものの、それ自体が出てくるのも珍しく、ほとんど1発アウトの状態のまま戦い続けます。

それにも関わらず、最初に説明した「操作性の良さ」だったり、「理不尽すぎない敵の攻撃」のおかげで、1発アウトというのがに、ゲームにほどよい緊張感を与えてくれる結果となりました。

これはなかなか珍しいケースではないでしょうか。

とはいえ面が進めば、当然理不尽な攻撃も出てくる!それは自分の腕を上げて対処してください。

まさに「地味な土台」に支えられてた面白さ

以上、「アルゴスの戦士」が、令和になってもレトロゲーセンに置かれ続ける理由を考えてみました。
書いていて思ったのですが、このゲーム、

派手さがまったくない…。

以前に紹介した「大魔界村」は派手な演出が随所に施されていました。インパクトのある攻撃方法、個性あふれるボスやステージ。曲までも強く印象に残る、まさに「太陽」のようなゲームです。

それに対して「アルゴスの戦士」は自機の快適な操作性ゲームテンポ、やられてもストレスが少ないなど、面白要素の中に派手さが全くありません
地味。そうやっぱり地味なんですよ。

ああ!
大魔界村とアルゴスの戦士は、派手な「太陽」地味な「月」の関係だったのですね。なるほど!

・・・

で?

行儀よく座る中ボスっぽい敵登場。ゆっくり近づくと

パッと立ち上がる。そこから離れるとまた座る。それをしばらく繰り返して遊ぶ。っていう遊び方も恐ろしく地味

余談ですが

・・・すいません。なんかスーパー締まりが悪い状態で終わってしまいました。
一番は、ゲームとしての根幹の部分がしっかりとした面白いゲーム、ということを言いたいだけなんです。

ということで、ここからは雑談メインでもう少しお話します。

100円を入れた時のコイン投入音がバカデカくてビビる。

アーケードゲームには、コインを入れた時に音が鳴るゲームがあります。
しっかりコインが入ったことを確かめられるので、それはそれで有り難い効果音です。

で、アルゴスの戦士なんですが、ゲーム音が大きく設定されていた場合、コインを投入した時の音が、

アホみたいにでかい

のです。
小学生だった私は、当時ゲーセンにあったこのゲームを初めて見た時、「わ!面白そう。」と思って100円を入れた途端、

ン!

というデカい音がしてめちゃくちゃビビりました。
心臓が止まるかと思いました。◯す気か!と。

今まで散々このゲームを地味と言ってきたのに、コイン投入音だけは派手なんかい。
派手さを出そうとする部分がやっぱり地味です。

デカいコイン投入音のあと、スタートボタンを押すと物語が語られます。投入音にビビるともうこの文字が頭に入りません

こんなに頑張ったのに

27ステージの最後にはラスボス登場

ここまで来るのが長かった…。いよいよラスボスとの対戦だ!

と盛り上がろうとする自分に、待ったなしですぐ攻撃してくるラスボス。

しかし、ボスはなぜか自機を飛び越えるジャップを繰り返し、画面の真ん中にいれば当たらないという失態を犯してしまいます。

最後の部屋に入るやいなや飛びかかってくるラスボス。慌てず画面の中央に行きましょう

自分はジャンプしてはいけません。ボスの着地を狙って、後はスコスコとヨーヨーを打ち続けるだけの簡単作業。あっという間にボスを倒すことができるでしょう。

・・・

とにかく、これで感動のエンディング!
と思ったら、今度はいきなり一般人らしき人たちに胴上げされ「わーっしょい」という声が響き渡ります…。

このゲームの制作者は、27面分ゲームを作ったことで力尽きたのでしょうか?

胴上げされる「アルゴスの戦士」に唖然としていると、「何時また新たなる挑戦者が現れるかもしれない」というメッセージが表示され、「このゲームが好評だったら2も出しますよ」的前フリをしてゲームは終わっていきます。

最後が胴上げというエンディングをもって、最後まで「地味」を貫いたアルゴスの戦士

ゲームは好評だったはずなのに「2」が発売されることなかったので、新たなる挑戦者も現れなかったのでしょう。
めでたし。めでたし。

アレンジを加えたファミコン版。色んな意味で期待を裏切る。

人気アーケードゲームはファミコンにどんどん移植されていた時代なので、アルゴスの戦士も例外なくファミコン版がでることになりました。
アルゴスの戦士ファンの私としては、ファミコン版にも期待したものです。

ファミコン雑誌を見ると、ファミコン版アルゴスの戦士の発売前の記事が出ていました。
ゲームタイトルを見ると、

「アルゴスの戦士 はちゃめちゃ大進撃」

・・・
うーん。
そうね、なんか、

嫌な予感がする。

はちゃめちゃ大進撃」って。あの硬派なゲームに似合わないタイトル。

ファミコンというハードの関係上、アーケードとは別のアレンジを加えてファミコンに移植されるケースがたまにありました。それを見ていた経験から、

このアルゴスの戦士もきっとアレンジを施されるに違いない。

という私の予感は案の定的中し、アーケード版にはなかった見下ろし型の画面や、仙人が出てきてアイテムを授けられたり最大ライフ数が増えたり独自要素が満載に。

ファミコンソフトのパッケージは、「はちゃめちゃ大進撃」という副題に合わせたかのように子ども用に書かれたイラストに変わりました。(だけどゲーム内はとても硬派な雰囲気。わけわからん。)

ファミコンカセットの画像。主人公、こんなじゃないやんかー!

アーケード版のような純粋なアクションゲームを期待していた私は、当然がっかりして、ファミコン版はスルーしていました。

すると、ファミコン版アルゴスの戦士は、売上が伸びなかったようで、店頭価格があれよあれよと下がっていきました。

販売から数ヶ月、私が何か安いゲームはないかと探していると、このアルゴスの戦士が偶然投げ売りされており、試しに買ってみることに。

なんの期待もせずに家に帰ってプレーしていみると、やはり思った通りアーケード版アルゴスの戦士とは別物になっていました。

…というところまでだと、普通にファミコンゲームあるあるなのですが、このゲームの場合は続きがあります。

アーケード版とは違ったアルゴスの戦士ですが、ゲームを続けてみると、自機の動き良く、サクサクと快適にプレーできました。

敵の攻撃を交わして、バシバシ敵を倒していきます。
なぜか仙人がくれるアイテムを使い、新しい地形を探索して、さらに新しい敵に出会い、戦いながら自分をパワーアップさせていく。
ゲームテンポも良い感じ。

気がつくと、数時間をこのゲームに費やしていました。

っていうか、

普通に面白いんかーーい!(゚Д゚)!

ちょっと驚きましたが、普通によいゲームでした。

ファミコン版特有の見下ろし画面。最初は違和感があったもののすぐに慣れて、これはこれで必要な要素として楽しめました。

結局、ファミコン版とは、

「はちゃめちゃ大進撃」という副題をつけて、パッケージも子どもウケ要素を取り入れたにも関わらず、その要素は本編のゲームには存在せずただ単にアーケードファンをがっかりさせて遠ざけた挙げ句期待ほどは売上が伸びなかったゲーム

ということだったようです。

ファミコン版はファミコン版で良いゲームだっただけに、ゲームの売り出し方が壊滅的に下手だったたことが、なんとも悲しい結果を生んでしまったのでした。

プレステや任天堂Switchで買えるアーケードアーカイブス版「アルゴスの戦士」。アーケード版をやるにはとりあえず一番最適ですね。

ポンコツ太郎
ポンコツ太郎

アーケード版はコンティニューは21面まで!そこからゲームオーバーになると即1面からやり直し鬼畜使用なんですー。

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