「面白いゲーム」&「思い出のゲーム」をご紹介していく【おもゲー】のコーナーです。レトロゲームが好きな私が毎回ゲームを絞ってご紹介しています。
第6回目は「スターフォース」です。
レトロゲーセンでもおなじみの「スターフォース」ですが、このゲームはファミコン版とそれにまつわるエピソードを無視するわけにはいきません。
そんな点も踏まえて、いつもの【おもゲー】視点でご紹介します!
ゲーム情報
ゲーム名:スターフォース
メーカー:テーカン
稼働開始:1984年(昭和59年)
ゲームジャンル:シューティングゲーム
その他:ファミコン版は1985年(昭和60年)にハドソンより発売
あの伝説のシューティングとほぼ同期
今回ご紹介する「スターフォース」は、これまで紹介してきた【おもゲー】で一番古い、昭和59年に稼働を開始しました。
この1年前は、なんとナムコの「ゼビウス」が世に産声をあげた年です。
スターフォースってそんなに古いゲームだったんだなぁ、と改めて思います。当時私は9歳ですし。
1年パイセンの「ゼビウス」。画像を見ると1982年の表記ですが実際の稼働は83年で、82年はロケテスト開始日だとか。面倒くさいわ!
スターフォースは、私が初めてプレーしたのがファミコン版の方でした。
ファミコン版はアーケード版の翌年、昭和60年に発売されています。
もともとアーケード版はゲーセンで見かけたことはあったものの、実際にプレーしたのはファミコン版の方が先だったんですね。
遅れてアーケードをプレーしたことで、改めて「アーケード版ってすげー」と感じた作品でした。
しかし、ファミコン版もとても良くできていて、後の社会現象を生む流れになっていくため、ココら辺についても絡めてお話していけたらと思います。
テーカンについて
「スターフォースと聞いて『ハドソン』と返答する人は、ゲーマー度が浅い人」
というのが当時、相手のゲーマー度を計る私の指標でした。(性格が曲がっています)
この質問に対して「テーカン」と答えた場合。
その時は、おめでとうございます。
あなたは立派にこちら側の人間でございます。(嫌です)
「テーカン」はアーケード版スターフォースの開発元であり、テクモ株式会社の商号変更前の名前です。
っていうか、今の人には現「コーエーテクモゲームス」と言ったほうが分かりやすいですね。
スターフォースといえばテーカン。
最初にファミコン版の方に触れてたくせに、知ったかぶりたいときはこれが必須なのです!(もうバレたけど)
テーカン時代の名作「ボンジャック」。ファミコンでは「マイティボンジャック」の名前で出てました。操作も快適な名作アクションゲーム。
気持ちよさの追求
前置きが長い。
本編のスターフォースについてですが、ゲーム性について紹介すると、これはもう、
爽快シューティングです!
と、爽快「生」っ!って連呼するビールのCMくらい「爽快」なシューティングゲームです。
このゲームの開発にあたり、当時のテーカンの社長から「単純で爽快感のあるゲームを作れ」という命令が下されたことが、このゲーム開発の根本にあったのだとか。
そういう命令があっても、実際にそうならないゲームもたくさんありそうなものですが、スターフォースについては社長命令のまま、そのまんま単純で爽快感のあるゲームができあがりました。
最初は細かいことを気にせずとにかく壊しまくれ!
まずボタンが1つ!地上と空中をわけて攻撃するなんてしゃらくせー!(ゼビウスに言ってます)
上も下も、同じ弾でみんな倒してしまえ!ということですね。
そして、敵は爽快にぶっ壊せ!ということで、敵を倒すと気持ちの良い爆発音が鳴ります。
敵も最初は行儀よく連なって出てきますので、こちらもバンバン倒しちゃいましょう。
どんどん出てくる敵をバンバン倒す。
あー、気持ちいい。これがスターフォースじゃー!
お行儀よく並んで登場するザコたち。どんどんやっつけよう!敵の爆発音がまた爽快!
そんな感じで、緻密で正確なショットを打っていく「ゼビウス」に相対して、単純に弾を打ちまくって気持ちいい「スターフォース」となりました。説明も単純になりました。(ごめん)
プレーヤー自身をパワーアップさせるという発想
スターフォースには、ゼビウスにはなかった「パワーアップ」という要素が存在します。
そのパワーアップとは「ボタンを押しっぱなしで弾を連射できる」というもの。
あ、あと音楽が変わります。
音楽が明るくなって、ボタンを押しっぱなしで連射してくれます。
自機の弾が強くなるとかそういうことでは一切なくて、プレーヤーを楽にしてくれるというパワーアップなのです。
はい、出た!この小さい自分のような仲間(画面上部)を取ると連射ができます。音楽も軽快になって気分が上がります。
連射があるととても楽なので、自機がやられてしまうと、「あー、また自分で連射しないとダメだぁ」となり、中年おっさんを絶望させてくれます。
ファミコン版とアーケード版
最初にも書きましたが、このゲームにはファミコン版が存在し、実際このゲームを世に広めたのはファミコン版の方だと言って過言ではありません。
ファミコン版は「ハドソン」が移植を担当し、その移植度がとても高かったため、スターフォースは一躍人気ゲームにのし上がりました。
「連射」という言葉、「高橋名人」という人物、「全国キャラバン」というイベントも同時期に有名になり、このゲームをきっかけとして、ゲーム業界をとりまく環境がどんどん変わっていきました。
シューティングゲーム専門誌「シューティングゲームサイド」。この雑誌にスターフォースや全国キャラバンの記事が載っています。(写真は私の所有物です)
スターフォースを初めとした歴代ハドソンシューティングの記事です。キャラバンでの激闘の記事がとても面白いです。
「連射する事」がカッコ良かった時代
ボタンを早く叩く行為。「連射」。
それまでも言葉自体は存在していたと思いますが、1つのテクニックとして小学生たちにまで広く浸透したのは、このゲームがきっかけだったのではないでしょうか。
スターフォースには連射を必要とする敵が存在しており、ゲームの攻略上でも連射は必須でした。
私も小学生の頃は、「ハドソンジョイスティック」を買い、スターフォースや後に発売される「スターソルジャー」を、猛烈に連射しながらゲームをプレーしていました。
いま同じことをやったら血管がキレて◯ぬだけです。危険なのでさせてはいけません。
ゲーセンオーナー様にはスターフォースにも連射装置の設置をぜひお願いします。
「高橋名人」というプロの誕生
連射というワードと共に、1人の男性がテレビにやたら出てくるようになりました。
「高橋名人」と言われているその男性は、テレビ慣れしてるんだか、してないんだか分からない立ち居振る舞いをしていましたが、愛嬌あるその男性の人気は凄まじく、テレビに映る子どもたちのアイドル的存在となっていました。
あとで知ったのですが、まだ「高橋名人」が無名だったころ、ゲームのイベントで「ゲームが上手い人」として登場した高橋名人が、子どもたちの目の前で「チャンピオンシップ・ロードランナー」の10面をクリアしたそうです。
チャンピオンシップ・ロードランナーといえば、難しすぎて子どもたちを絶望させていたゲームですが、その一部をクリアして見せたことで、ゲームイベント終了後、会場にいた子どもたち2~300人にサインをねだられたそうです。(wikiより)
私もその場にいたら、きっとそこに混じってサインをねだったことでしょう。
チャンピオンシップ・ロードランナーのワンシーン。パズルゲームなどする気も起きなかった私。
そんな逸話を残す高橋名人は、無名だった名人時代から、「16連射」という具体的な行為を見せつけていくことによって、その名を全国に轟かせていくことになります。
16連射とは、1秒間に16回ボタンを押すことです。
高橋名人の連射は本当に早くて、そのインパクトのある連射シーンはよくテレビに映し出されていました。
私を含め当時の子供たちも、夢中でそれを真似したものです。
ただ、その連射ブーム真っ盛りの中、当のハドソンが「連射機能付きコントローラー」を発売しました。
そのコントローラーには3段階で連射速度が変えられる切り替えスイッチもついており、現在の連射付きコントローラーの原型が、すでにそこにはありました。
連射する名人を押し出しながら、連射付きコントローラーも出してしまうハドソンに、なんとなく違和感を覚えながら、それでも連射の腕を磨いていた日々でした。
噂で逮捕される高橋名人
そんな高橋名人ですが、小学生だった私たちの周りである日、「高橋名人が逮捕された」という噂が、凄まじい勢いで広まりました。
逮捕理由は「16連射が詐欺だったから」と言うのです。
詳しく聞いてみると「高橋名人は16連射を実現させるために、コントローラーのボタンの中に自作のバネを入れていた」「それによって1回ボタンを押すと3回反応し、16連射が可能になる」というものでした。(※これは当時小学生だった私が、実際に聞いた噂です)
最初は疑いましたが、この頃なぜか高橋名人をテレビで見る機会がめっきり減っていたこともあり、本当に捕まったんじゃないかと思って動揺しました。
結論、高橋名人自体は逮捕はされておらず、「警視庁からの一日署長の依頼があったこと」が誤って伝わり、その噂になったということらしいです。(一日署長も結局は実現しなかったとのこと)
ただ、凄いと思うのは、私が住んでいた新潟市にもその噂が広まってきたことです。
私が社会人になり、インターネットが見れるようになってから、改めてこの時の情報を確認したのですが、高橋名人が逮捕されたという噂は、全国的に流れたそうです。
しかも、「ボタンにバネを仕込んで」という部分まで同じだったので、他の県でも同じ噂を子どもたちがしていたと思うと、なんだか少しほっこりしてしまいます。
さらに詳しく調べてみると、私が子供の頃に聞いた「高橋名人逮捕説」の他に「死亡説」も存在したことが分かりました。
なんでも、「高橋名人が連射のやり過ぎで、耐えきれなくなったコントローラーが爆発して、◯んだ」とか。ここまでくると面白すぎるでしょ。
まぁ、でも「コントローラーにバネを忍ばせた容疑で逮捕」って、それ自体ももはやコントなんですけどね。
写真は「シューティングゲームサイド」での記事。
高橋名人は2012年にハドソンを退社。退社しても「高橋名人の使用許可」について、ハドソンとの交渉を交わしたそう。
今から数年前、すっかり「懐かしのあの人」になった高橋名人がテレビに出てきて、その頃の「逮捕の噂」について話をしていました。
「バネを仕込んで逮捕された」という噂は、当時の高橋名人も知っていて、それを聞いた名人は「面白そうだな、やってみよう」ということで、実際にコントローラーにバネを仕込もうとしたそうです。
「でもコントローラーにバネが入らないんですよー」
と笑って話す高橋名人は、すっかり話のオチも作れる名人となっておりました。
まとめ
ってか、高橋名人の紹介ブログだわこれ!(号泣)
もうすっかり忘れ去られた「スターフォース」ですが、その後「爽快なシューティング」としてベンチマーク的存在となり、多くのシューティングの見本となっていきます。
ハドソンにとっても、その後の「大シューティング時代」の礎を作った貴重なタイトルになりました。
いまではレトロゲーセンに「連射ボタン付き」シューティングが多く存在しますが、たまには少し額に汗をかいてボタンを叩くのもいいかもしれませんね。
高橋名人は自身が出演する映画の中でスイカを爆発させていました。(笑)
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